PRISM 深町純追悼Live（仮up）
PRISM＋α 4days ＠関内ストーミーマンデー
[PRISM] 和田アキラ(G)、木村万作 (Ds)、岡田治郎(B)
深町 純（ｋｅｙ）
2010年12月27日（月） 横浜関内ストーミーマンデー
PRISM 4days 第一夜 深町純さん追悼の夕べに行ってきました。
PRISM：和田アキラ（G)、木村万作（ｄｓ）、岡田治郎（Ｂ） ＋（深町純(key)）
年末の4日連続PRISMライヴ初日はもともと急逝された深町純さんがゲストの予定だった日。
和田さんたちは誰かゲストを招いての演奏も考えたが、結局３人で深町さんを偲ぶことにしたそうだ。
深町さんと長く共演してきた和田さんですからゆかりのある曲は数えきれぬほどあり、それらの中からPRISMのメンバーで選び、今回のライヴに合わせて準備してきたとのこと。
客席には深町さんの奥様の姿も見えました。いま、深町さんの遺志を伝えられる数少ない、いや、唯一かもしれない和田さんの演奏からきっと亡きご主人の姿が浮かんでくるのではないでしょうか。
定刻をちょっとまわったところでメンバー３人が登場、それでは開演です。
和田さんはサステナー付きダークブラウンの11号機、治郎さんは赤のフレッテドを手にする。
１．パレス・イン・ザ・スカイ
これは来春発売されるニューアルバムに収められる曲で新譜はトラックダウンまで終わったとのこと。ちなみにこの曲は今年なくなったPRISMの大切なパートナーの一人であるSHIMOさんに捧げた曲だと聞きました。
ロックトリオ調の曲で、和田さんには珍しくワウワウをフルに使ったソロが、若干Creamを彷彿とさせる。ロックが好きだったSHIMOさんの思い出を込めての演奏なのかもしれない。ギターソロが延々続くところもクリーム、それもライヴ盤のそれを連想させる。ギターに続いては治郎さんのソロ。治郎さんもギターとの関連性を持たせてか、オートワウを使っての演奏だった。
アキラさんは最近出番の多い10号機に持ち替える。アキラさんの新曲で、これもニューアルバムに収録されているそうだ。ずっとタイトルがついていなかったそうだが、ついに決定した。
２．サン・ドッグ：
日本語で書けば「太陽犬」だそうだが、そういう種類の犬がいるわけではなく、太陽のまわりにあるもやもやとした部分のことで、幻日（ゲンジツ）とも言うらしい。そのへんのことをしきりと脇でビデオカメラを構えている人に聞いていましたが、その方はニューアルバムのジャケットデザインをされた人だそうです。
万作さんのリムショットが印象的。治郎さんのソロ、今度は口笛の音とユニゾンでした。
さて、ニューアルバムから２曲紹介が終わったところで深町さんを偲ぶパートに入っていきます。まずはアキラさんが深町さんとデュオで演奏していたこの曲。
３．サッド・モーメント
深町さんは和田さんのギターの歪んだ音が好きだったそうで、和田さんがクリーンで弾くと、「君、それは歪みじゃなきゃ！」とか「君、それは違うだろう！」と和田さんの歪んだ音を望んだそうです。
で、この曲、今回のリハの時に最初和田さんが歪みで弾いたら、そんな背景を知らぬ治郎さんから「そこ、クリーンにしたらどうですか？」との提案があり、そのあたり、至って柔軟な和田さんは両方の美味しいところを取り入れ、最初はクリーン、途中からの盛り上げで歪みと使い分けていた。
ベースがアルペジオでつくる空間の上に、まずクリーンのギターがメロディを奏で、次いでベースソロ、再びクリーンGのメロディから歪みのギターソロ、ドラムソロでピークを迎え、最後にベースのアルペジオに乗ってクリーンGのメロディでエンディング。短めの曲ですがいかにも深町さんのメロディでした。まだレコーディングされたことの無い曲だそうですが、PRISMで録音したい、と和田さんはおっしゃっていました。
ぜひとも！お願いします。
続いてはおなじみの曲
４．アクア・ボンダイ
スタジオ盤ではキーボードが入っているが、キーボードレスの3人でやってもまったくコード感が無くならないところがこの３人のすごいところだとつくづく思います。
治郎さんがこの曲に関連した深町さんの思い出として5月連休のストマンでのライヴのとき、深町さんはダブルブッキングでPRISMの第1部に来られず、自分のライヴを短めに切り上げて、PRISMには第2部からリハなしで参加した。そのときに譜面を一瞥した後、初見で弾いてしまったというのがこの曲でした。私もその場に居合わせたが、やはりその辺の事情を知った上で聴いているとそれは驚嘆以外のなにものでもありませんでした。もちろんアクセントなど細かいところはリハなしなので微妙に合いませんでしたが、しかしとても初見での演奏という感じではありませんでした。その時の様子はこちら
次は深町ファンだけでなく、フュージョン、クロスオーバーファンなら誰でも知っている深町さんの超有名曲の一つ。これも前回の共演の時、深町さんのタッチが強烈で、ステージの離れたところにいても鍵盤を叩くカカカという音がきこえたという曲です。
５．ダンス・オブ・パラノイア パート２
え！この曲をたった３人で？！ なんて無謀な！と思う事なかれ、3人と言ってもこの３人はやはり凄まじかった。私はNYオールスターズでこの曲を知ったので、KEEPが4人で（ブラスなしで）この曲を演奏しているというのにだいぶ驚いたものでしたが、今回はなんと鍵盤なしの３人。
あ、・・・・・そういえば過去にも3人でこの曲を演奏したことがありましたね。六本木ピットインでの和田・深町デュオの日、深町さんが急に来られなくなったとき、なんと和田さんはKEEPのメンバーである富倉さん（B)、山木さん（ｄｓ）を急遽呼び寄せ、3人でKEEPの曲を演奏してしまったのでした。そうそう、このとき以来ですね、３人でのこの曲は。この曲でもやはりずっとコード感が曲の根底を流れていて、ギターがバリバリのソロを引き倒しているときでさえ音が薄くならないのは驚異的でした。
すごいものを聴いてしまいました。
さて、ひとまず休憩です。
メンバー3人が外でくつろいでいるのが見えたのでちょっとご挨拶に行こうか迷っていたら目があった和田さんが「オウ！ ケン・ヤマ！」と声をかけて下さったのでちょっとお話することができました。
「すごかったですね、3人でダンス・オブ・パラノイアをやっちゃうなんて！」、
と感想を伝えると、
「このあとはもっとすごいぞ、何しろこの二人は今日初めてやる曲もあるからな、ははははは」
なんて軽〜く笑ってました。（なんて超人的な(^^ゞ）
休憩を終えてメンバー３人が戻り、さてアキラさんが『もっとすごい』と言った第2部です。まだあの曲、やってないしな〜。(^^♪
アキラさん、治郎さんは引き続き１０号機、赤フレッテドを手にする。
ん？ このコードは・・・・のっけから来ました！
１．Departure in the Dark
アキラさんのクリーントーンが奏でるメロディが美しく響く。クリーントーンひとつとっても自分にとっては芸術品レベルの美しさだと思う。これを聴くだけにでもライヴ会場に足を運ぶ価値があると思っています。
メロディ途中から歪みに切り替え次のパートへの導入をスムーズにしていく。この曲のppとffはある意味深町ミュージックの究極の姿とも言える。とにかく強弱のコントラストが織り成す曲の美しさと力強さが本当にワン・アンド・オンリー。
途中、ベースの定型パターンに導かれるパートで治郎さんのソロ。こういうところにさりげなく自然にソロを主張してしまえるのが治郎さんの真骨頂のように思えます。
そして引き続きど〜んと歪みのギターソロ、いつもながらに泣きまくります。もうここのソロは和田さん以外には考えられません。
はあ、第2部、一曲めからいきなり自分の内側のテンションが上がってきてしまったなぁ。
次の曲はdigit cafe収録曲ですが、初出は深町さんがプロデュースしたアキラさんソロアルバム、"Yellow Moon"。アキラさんがこの曲のマイナスワン（リード楽器の収録されていない）音源を持っていたので今回のライヴではアキラさんがその深町さんが作りこんだ音源をバックに深町さんの音と共演する。
２．CRESCENDO
転調に次ぐ転調の中で美しい旋律を奏でるという、スローでありながら実際に弾いてみるとかなり大変な曲だと思われるのですが、アキラさんは歩調を合わせてくれない、いわばカラオケを相手にひたすらひたすら美しくメロディを奏でる。その音の伸びとビブラートの琴線への刺さり方がなんだか尋常ではありませんでした。何度も堕ちそうになるのを必死で持ちこたえた、そんな情感あふれる美しい演奏でした。 Bravo！ ホントは席を立って拍手しなけりゃいけない演奏でした。ううう・・・。
これは治郎さんがお好きだということで今回選ばれてきた曲だそうです。治郎さん、選んでくれてありがとう。ホントは治郎さんも一緒に演奏したかったんだけど、深町さんがしっかりシンセベースを入れてあったので、今回は遠慮したとのことでした。
３．sando
次も深町さんの曲。これのタイトルは砂を意味するsandかと思うとそうではなく"sando"だそうで、つづりを間違ったのではなく意味があるらしい。そんな話をしたところ、客席から「前に意味があってそうしてるって深町さんが言ってた」という声があがり、和田さんも「た
しかにそんな話を深町さんがしてたような記憶があるんだけど、きっとそのとき丁度チューニングか何かしてて聞いてなかったんだな。そうだ、君なら調べられるだろう？」と今日やたらとちょっかいを出しまくられている『X』さん（一応匿名にしておきましょう）にまたしてもちょっかいが入りました。「じゃあ『X』君は次回までに調べてくるように」と宿題を出されてしまってました。さあ大変。(^^♪ それはさておき、それではこれも美しい曲でした。
続いての曲はバンドとして演奏するのは初めてで本邦初公開だそうですが、カッコ良い曲です。Digit Cafeの中でもっともKEEP色の濃い曲と言えばファンの皆さんはピンと来ると思います、そうあの曲を今回はなんと深町さんのキーボードと一緒にバンドで演奏します。アキラさんの高速フレーズもあって、大変と言っていたら、アキラさんが「でもそのフレーズ、もう一人の人も弾いたりするよ」と前もってネタバラしちゃいました。言っちゃってから「もう一人の人って誰かな、万ちゃん？」とかしょうもないこと言ってるのがまあ、いつものアキラさんの３の線のトークですが(^^ゞ
ということで次の曲
４．Accomplice
ホントにまんまKEEPですよね、これ。いつかはKEEPにやってもらいたいと思っていたんですが、深町さんが亡くなってしまい、それは叶わぬ夢となりましたが、その遺志を伝えてくれるアキラさんがPRISMとして深町さんの音と一緒に再現してくれました。それにしても凄まじい曲です、これ。でも哀愁が漂う独特の美しさが根底を流れているのが深町さんの音楽ならでは。
ちなみにタイトルは『共犯者』という意味だそうで、アキラさん、「これで万ちゃんと治郎ちゃんも共犯者」とか言ってました。
MC
深町さんの譜面の話題。
１部でやったダンス・オブ・パラノイアは深町さんと共演したときに持ってきた譜面は、なんとNYオールスターズで使ったものだったそうで、スティーヴ・ガッド・ソロとかアンソニー・ジャクソン云々とかすごいカキコミがあったそうです。やはりすごい歴史的な出来事を再認識させられますね。
ちなみに深町さんの書く譜面はすごく小さいそうで、老眼の目にはかなりキビシイとか(^^ゞ
アキラさんは「もともと（譜面は）苦手なのにますます読めねえよな、だから見ない（笑）」とか言ってました。
さて、あっという間に時は流れ、2部最後の曲となってしまいました。最後を深町さんゆかりの曲でしっとりと終えるにはこれ以上の曲はないでしょう、5月連休の時も最後に演奏してくれた曲です。深町さんはあのとき『バラド』って発音してましたっけ。
５．Ballad
KEEPでは富倉さんのフレットレスベースがメロディを奏でましたが、今日は治郎さんがフレッテドで、そのメロディをなんともムーディーに奏でます。その繊細なこと。そしてそのメロディの背後に広がるアキラさんのクリーントーンのバッキングの美しいこと。もうそのギターのバッキングにのったベースのメロディだけでも十分なくらいなのに、メロディに導かれて続く歪みのギターの美しく泣くこと・・・・。非常にやばいですよ、もう、たまりません。
はあ、硬軟、強弱、響弱ともう感性を揺さぶられっぱなしのライヴでした。きっと深町さんの奥さんもアキラさんたちの奏でる音楽に亡きご主人の遺志を感じられたのではないかと思います。ホントにすばらしい演奏でした。しかし、まだ終わるわけにはまいりませんね、もう一度彼らを呼び戻さねば。
アンコールの拍手に応え戻ってきたアキラさんは一曲めと同じくサステナー装備の10号機を手にする。治郎さんは今日初めてナチュラルのフレットレス。きっとこれはPRISMのメンバーから深町さんへ、いつまでも忘れないというメッセージなんだろうな。
Encore： 絆
11号機のサステナーを駆使したロングトーンのメロディが美しい。スケールの大きなスローバラードは深町さんも今日の演奏を応援しながら『なかなか良い曲じゃないか』なんて思ってくれたことでしょう。
最後にメンバー紹介
ギター、和田アキラ、ベース、岡田治郎、ドラム、木村万作、・・・・そしてキーボード、深町純でした。
最高のライヴでした。
